久しぶりに、あしたのジョーを全巻読み直して思ったこと

昨夜はとにかく忙しかった。
実家にある漫画「あしたのジョー」を全巻読破(笑)
あらためて梶原一騎とちばてつや両氏の力量に圧巻される。
みんなジョーを強いボクサーだと勘違いしているのですが
ジョーの試合結果を見てみると、脇役みたいなボクサーには勝ってるのですが、メインとなる敵には勝てないで終わっているのよ。
お馴染み力石徹には常にKO負け。
カーロス・リベラとは何回戦っても引き分け。
ホセ・メンドーサとは判定負け。
負けたけど次は勝つぞー!覚えとけよー!ってジョーはいきりたつ性格だけど、力石徹は死に、カーロスは廃人、ホセは抜け殻になってしまった。
このシーン
ホセに判定負けしたジョー。
判定が発表される前、場内は湧き、誰もジョーを見ていない中で燃え尽きた。唯一、白木のお嬢様だけがジョーを見てて異変に気づくのよ。
この寂しさ。
矢吹丈というのは社会の最底辺にいたチンピラなんです。
明治時代の若者たちの司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」と同じなのですが、世界という「雲」を知り、必死に掴もうとがむしゃらに生きる。
矢吹丈は少年院で力石徹という「雲」に出会い、それを掴むためにボクシングを始めたんです。
が、つかむことなく負けたまま力石徹は死んでしまった。
カーロスという天才に出会い、力石徹ともう戦えないというやり場の無い気持ちをぶつけるが、不完全燃焼のまま、カーロスはホセのコークスクリューパンチで廃人になっちゃう。
そこで、もうジョーの視界には世界最強の男、ホセ・メンドーサしか入らなくなり、試合でコークスクリューパンチを何度もくらうが立ち上がりホセを恐怖に陥れ、再起不能状態まで追い込んで試合終了。
矢吹丈の生き方というのは最底辺にいる若者、負け犬のあがきなんですよ。
ジョーの判定負けで沸いた場内で観客が見たものは、黒髪が白髪となり生気を失い老人のようになったホセの姿。
一方、ジョーは力石徹から始まる、行き場の無い葛藤などすべてが無くなって、真っ白に燃え尽きていた。
これに関して、ジョーは生きてるのか?死んでるのか?と騒ぐ人がいますが、全然ダメな大人です。
生きてる、死んでるとか、そういうものじゃないんです。
ジョーは真っ白になった、でいいんです。
あんまり聞かれるので、ちばてつや先生はめんどくさくなって「生きてる!」って言ってしまいましたが(笑)